キレーな顔した狼さん。
第15章 12匹目
「嫌よ!何で汐里さんが来るって解ってて、私がここを離れ無くちゃいけないの!?」
扉が僅かに開いているせいか、
2人の声がよくきこえる。
顔までは正確に見えないが、声からして…2人供、機嫌が良いとは思えない。
「みすみす汐里さんとお兄ちゃんを2人っきりに何て、するもんですか!」
瑠花は興奮気味に叫んでいる。
それに対して、瑠樹の方は冷静に言葉を発する。
「…瑠花。お前の気持ちには答える訳ねーって言ってんだろ?
俺と汐里の事…見てれば解るよな?」
「そ、そんな事……」
瑠樹の諭すような言い方に、瑠花はたじろいで俯いた。
そんな瑠花を眺めながらも、
瑠樹は話を続ける。
「お前も解ってんだろ?瑠花…。
フフ…ハッキリ言ってやろうか?
……邪魔だ、っつってんだ。」
「……っ」
淡々と言う瑠樹。
瑠花の核心を付くように…淡々と。
とても冷めたような声を出す瑠樹に、
俺は恐怖さえ覚えた。
「瑠花…俺にこれ以上言わせる気か?
…もーいーだろ。早く行け。」
どこまでも冷たく…冷酷に……─
「おに…いちゃん…ヒッ…クッ」
さすがの瑠花も歯を食いしばって涙を堪えてるのが解る。
「はぁ~…泣くなよなぁ…
メンドクセー奴…。」