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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「階段から……え!?階段!?」

ビクっ
「うっうん」

俺の説明を黙って聞いていた瑠樹が
勢なり叫んだから…

まぁ、案の定ビビりましたよ?

「汐里っ!大丈夫なのっ!?」

ガシッと俺の両肩を掴み、怒鳴る勢いで聞いてくる瑠樹に、押され気味で俺は答えた。

「だ、だから…
瑠花のおかげでだな…」

「瑠花……」

「へ?」

ボソリと粒かやれた瑠樹の言葉を、聞き取る事が出来ずに聞き返す。

すると…

スッ─

瑠樹は俺から離れ、瑠花の方へ体を向けた。

「「?」」

瑠樹の行動に、俺と瑠花は頭に"?"を浮かべて首を傾げる。

「"俺の"汐里が、世話になったな。
…ふんっ、礼ぐらいは言っといてやる」

………

「……」

「……ふはっ」

あまりの瑠樹の可愛さに、吹き出してしまったのは俺。

瑠花は、信じられない…とでも言うようにポカーンと口を開いて固まっている。

「何だよ、汐里。」

ムスっと口を尖らせて拗ねる瑠樹を、

"俺の"を、解りやすく強調した瑠樹を、

俺はホントに愛しく思う。

「いや?…なんでも」

フフっ…なんて、どうしても緩んでしまう頬を隠さずに俺は瑠樹を見た。

「…っ」

一瞬、驚いた様に目を見開いた瑠樹は
すぐに満足そうに微笑み返すと、
また…俺の手を引く。

「じゃ、そーゆーことだから。
バイバイ。瑠花」

何故か勝ち誇ったような瑠樹の口調と顔つきに、俺は完全に忘れていた瑠花の存在を思い出す。

うわ、やばっ…

すっかり緩みきっていた頬を急いで引き締めると、

俺も未だにポカーンとしている瑠花にお礼の意味で頭を下げる。

きっと今、俺は瑠花の前だということを忘れていた恥ずかしさで顔が赤い。

それを隠す様に、顔の前で瑠花に手を振るとサッサト進む瑠樹に引かれながら、前を向いた。

「…汐里さん……
あんな顔するんだ……」

残された瑠花は、ポツリと言葉を漏らす。

そんな言葉が俺に届くはずもなく

俺はてっきり、未だにポカーンとしている瑠花の理由は瑠樹のあのお礼のせいだと…信じて疑わなかった。

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