キレーな顔した狼さん。
第15章 12匹目
「何ボーッとしてるの?
…ほら、こんな奴放っといて早くいこ?昼休み終わっちゃう」
グイグイと俺の手を引く瑠樹。
瑠花はというと、悔しそうに顔を歪めて俯いていた。
「お、おいっ!瑠樹!」
俺の手を引く瑠樹を、バランスを崩しながら呼び止める。
「……なに?」
うわっ…
何とか呼び掛けに応じてくれたのは良いんだけど……コエーっ
やっぱり瑠樹は何処か不機嫌で…
見るからに黒いオーラをまとっている
急に瑠樹を呼び止めたもんだから、
瑠花も少し驚いているようだ。
「あ、あのさ?
瑠花は…その…俺を助けてくれたわけだから……」
─ピク
瑠樹のこめかみが動く。
「汐里を……助けた?
…こいつが?」
「えっ…う、うん」
フォローのつもりが、ますます機嫌が悪くなる瑠樹。
何でだ!?
何でこんなに機嫌わりーんだよ!
小学生男子とか…
んな可愛いもんじゃねぇーーっ
「助けたってどーゆーこと?」
「ふぇっ!?」
瑠樹の怒りを含んだ声色に、つい、情けない声を出してしまった…
「う、うんとなっ!
俺が階段から落ちそうになってだなっ!
それを瑠花が庇ってくれたっつーか…
なんつーか?」
一人テンパる俺。
くそーっ!
こん中で一番年上なのにっ
カッコ悪いな、俺っ。