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キレーな顔した狼さん。

第16章 12.5匹目

─が、

ヒョイ

と、突然消えた弁当箱に今まさに1つ残ったウインナーをつかもうとしていた箸は

…見事なまでに空振った。

「ちょっ、お…」

咄嗟に振り向いて瑠樹に抗議しようと口を開く。

でも瑠樹は…俺の言葉を最後まで聞くことなく自分の口で俺の言葉を遮った。

「ちょっ…ん…ふっ」

な、なんだっ!

いきなり!

「る…きっ…ぷはっ」

がっつく瑠樹を、どうにか押し返して酸素を口に取り込む。

「はぁっはぁっはぁっはぁーー」
─ギュッ

突然だった。

必死に酸素を取り込む俺を、瑠樹は力強く抱き締めた。

…え?

ドキドキと加速する心臓と戸惑う気持ちとは裏腹に、頭はどこか冷静で…

あ…弁当箱、ちゃんと横によけてある…

なんて、思った。

これから、どんな事がおこっても
弁当箱に被害はでないと。

これから、おこるで有ろう行為を
どこか自然に…

受け入れている自分がいて。

待ち遠しくさえ思う自分がいた。

「おい…る…き?」

瑠樹の背中に手を回してシャツを握る。

瑠樹は少しビクっとして…驚いたように感じる。

「…なんで汐里は……」

「え?」

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