好きな空間
第10章 フィクサー
帝国ホテルのラウンジの近くのお店でママとランチをしていた。
「エリカちゃん、
お店を持ってみる気は無いかしら。」
「ママ、急にどうしたの?」
「いずれよ、でも近いうちによ。」
笑いながらも瞳は笑ってなかった。
「貴女も、もう私のお店にいらして7年は立つでしょう。」
「はい。」
そう気が付いたら、もう7年が経っていた。
「それでね、エリカちゃんに紹介したい人がいるのよ。」
ママの言いたいことは直ぐに見当がついた。
私に旦那を付ける気なんだ。まるで私はママの将棋の駒になっていた。
でも、それが銀座の掟。
ママの長年の洗練された目には間違いない人。
勿論、私は受け入れることにした。
億単位の大物だから。