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あなたが消えない

第19章 あなたが消えない

目の前には、いつもあなたが居て。

私に笑いかけてくれている。

「翼?…永遠の永の字を、おまえにあげるよ…おまえを愛してる…」

あなたの声で、そう聞こえる。

だから、明日も今日みたいに頑張れる。

私には見えるの。

今でも、あなたが鮮明に見えるの。

あなたはどうですか?

今でも私の事、覚えていますか?

私の姿が、あなたの瞳の奥に鮮明に映し出されている事を願う。

私の中ではあなたは今も、消える事なく存在している。

あなたが消えない。

あなたが消えない。

あなたが消えない。

そう思いながら、あなたを想い、また一人で泣くのだ。

4月になり、ようやく101号室の新しい住人の男性と話をする機会があって、翔の話を思いきってした。

「あぁ、永津さんですか?実は僕も直接お会いする程の仲じゃないんです」

「永津さんにどうしても伝えたい言葉があって、あの方の消息が知りたくて探してるんです」

私は必死に、その男性に訴えた。

「そうですか、分かりました。一度知り合いに連絡取って、永津さんの事を聞いてみます」

「ありがとうございます」

私は深々と頭を下げた。

翔…、あなたがここへ、私に逢いに来てくれないならば、私から絶対にあなたに逢いに行くよ。

例え、あなたが今、奥さんと子どもと幸せに暮らしていたとしても。

嫌な顔するのも私は我慢して、あなたに逢いに行くよ。





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