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あなたが消えない

第20章 永遠は消さない

今夜も私は、永津 翔の夢を見て、深夜の2時に起きる。

翔に、触れに行こう…。

裸足で、アパートの階段を降りて、101号室の扉に触れる。

触れて目を閉じる。

翔が、この扉を開けてくれる。

「いらっしゃい…今日はここでする?…」

私は差し出された翔の手を握る。

ねぇ、翔…確か、そんな感じだったでしょ?

どうして、私の手を引いたの?

私は流れる涙を、両手で救う。

逢いたいよぉ…

逢いたい…

逢いたいの…

翔…逢いに来て…

…………。

車が近くで停まる。

いけない、もう戻らなきゃ。

こんな時間に、こんな姿で何をしてるんだろうと怪しまれちゃう。

私は、階段下にそっと隠れた。

車の扉が開く、そして閉まる音がした。

ゆっくり誰かが歩いて来る。

新聞屋さんにしては、早くない?

私は裸足の足をモジモジさせて、もっと奥へと階段下に隠れた。

ヤバい、怖い!

「奥さん…こんな深夜に…人の家の前で何してるんです?…相変わらず…怪しいなぁ…」

………?その声に私は心臓が震えた。

階段下の隠れる私に、顔を覗かせたのは!

「…翼…」

紛れもなく翔だった。

「…う…嘘…翔?…」

私は驚いて、翔の顔に触れた。

夢じゃないよね、夢じゃ。

「やっぱり…俺も…どうしようもねぇな…逢いたくて、逢いたくて…もう限界越えちゃったよ…おまえが頭から消えなくて…ずっと…想ってた…」

翔は、私をしっかりと抱き締めた。






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