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紅蓮の月~ゆめや~

第15章 最終話 【薄花桜】 エピローグ

「これでやっと―逝(ゆ)ける」
 差し伸べられた手に、彼女は身を委ねた。
 次の瞬間、彼女は良人の逞しい胸に抱きしめられていた。雪の中にいるはずなのに、良人の腕の中は温かい。彼女は天から絶え間なく降り注ぐ白い花びらを浴びながら、愛しい男の腕の中でそっと眼を閉じた。今度こそ、長い長い眠りにつくために。

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