
紅桜学園イケメン部!
第28章 始まるステージ
不意に拓己と目が合った。
あたしは反らそうとするのに、拓己はあたしに何かを伝えようとしているようだ。
「え・が・お」
多分、拓己はそう言った。
口しか見えないから、実際本当にそうだったか分からない。
だけど、その御陰で不思議と「怖い」気持ちがなくなった。凄く安心できる。
不思議と凄く温かい気持ちになった。
「エントリーナンバー4、
中西みなみさん」
あたしはマイクを受け取り、
深呼吸する。できるだけ深く吸おう
そして、呪文のように頭の中で連呼。
怖くない、怖くない。怖くな―――…
「みなみぃー~頑張れぇ~」
拓己がバカみたいにあたしを応援する。ステージ上なのに、まるで部室みたいだ。…おかしくなったのか?
・・・っていうかあたしの呪文、
台無しなんですけど!
振り返ると、
拓己がニヤリと笑ってた。
この野郎…っ
あたしは言い返すのを抑えて、
ゆっくり前を向いた。
後で覚えてろよ?
…そう思いながら。
