
届きそうで、届かなくて、、、届けたくて。
第8章 episode7 ~*悪夢*~
寒さなんかじゃなく手が震えた
そのまま当たり前のように
スーパーの袋が手から外れた
それに合わせて、卵なんかが割れる音がした
マンションの床に、染みが広がっている
無意識のうちに涙がこぼれ落ちていた
それに気づいた瞬間、
現実という重さがのしかかってきたような感覚がして
それに耐え切れず、
押しつぶされるようにしゃがみ込み
声を押し殺すようにして、泣いた
これで、何食わぬ顔をして入れたら、
和くんは、私の彼氏なんだ
そう言えたら、どれだけ楽だろう
結局、私は利用されている身であって
釣り合わないのも無理ないし、
元々、付き合っているわけではないんだ
“好き?あぁ、そういうのメンドいから”
二宮さんは、ああやって遊び感覚で寄ってくる女のほうが、
実は、向いてるのかもしれない……
