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ふたりのカタチ

第11章 甘えたい

少し開いたドアを軽くノックし
電話の邪魔にならないように
おはよと言うと
ビックリした顔で振り向き
すぐにふわっとした顔でおはよって言ってくれた

『Hold on!』

電話の向こうの人にそう告げて

「ごめん!起こしちゃった?」と言った

「ん、大丈夫。仕事の電話?」
「うん。あ、でも今は世間話中(笑)」

笑ってそう言って、なにやら電話の向こうの人に英語で話し始めた

『ごめんね、今日は彼がいるのよ。起きてきたから朝ごはん作るわ!うふふ』

そのくらいの英語はオレだってわかるよ
「彼」っていう言葉と
嬉しそうに言ってくれてる姿が
すっごく可愛くて
後ろから抱き締めると
くすぐったそうにしてまた話し始める

わざと電話の人にわかるくらいに
耳元でキスの音をたてた

『彼が甘えてきてるから、また電話するわ。え?ふふふ…そうね、そうする!!』

後ろから抱きつきながら
「何の話をしてたの?」と聞いてみた

「お父さんの事務所にいる人で昔からの知り合いなの…仕事の話や世間話を、ね」
「ふーーーん」
「ふふふ、心配しないでね、女の人よ?」

後ろにいるオレの頭を軽く撫でながら
「おはよ、かずちゃん」と言い直してくれた

「何時に出かけるの?」
「んー13時にマネージャーが迎えにくるから、それまでは…」

言いかけたのと同じくらいにあやねえも
同じことを言った

「それまではゆっくりしてられるね」

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