
真愛 偽愛
第1章 はじまり
……………
部屋を出る直前でよびとめられてしまった
『なんでしょうか……?』
「おまえんとこの会社、
おれと結婚しないとやばいんじゃないの?」
彼が初めてわたしに見せた笑顔は
悪魔のようなつめたい顔だった
『でも…あなたわたしが嫌いでしょう』
「嫌いなんて感情はない
もちろん好きなんて感情もない
おまえになんかなんの感情もない
ただ、おれはあのくそ親父の
言うことを聞かないといけない」
そう言う金田ゆうきの顔は
どこか悲しみを含んでいる
憎しみのこもった冷たい顔だった
『どうして…?』
「おまえには関係ないことだ
しょうがないから結婚はしてやる
でも…おれに何も求めるな
おれがこれから先おまえを
好きになることは100%ない」
