
秘密の蜜は甘い
第1章 あたしの秘密
「お兄ちゃん…っ」
「ん?」
あたしは顔を上げて聞く。
質問の答えは分かってる。
分かってて聞くあたしはバカだ。
…きっと、バカなんだ。
「―――あたしの事、好き?」
優しいお兄ちゃんの答えは決まってる。
だけど『好き』と言われたくて聞く。
…バカな、あたし。
「鈴、好きに決まってるでしょ?」
あたしはバカだ。
この質問をすると、
嬉しくなる所か泣きそうになる。
…きっとあたし、『妹』って類から一生抜け出せないんだな。
他の女の子が羨ましい。
お兄ちゃんを本気で好きになる事が許されてるのだから。
告白出来る、
あたし以外の女の子が羨ましい。
…神様って意地悪だよね。
