
先生。
第3章 ◯ 黄色い朝食
「…おい。」
「……んー?」
「おいコラ。」
「なーにー?」
「邪魔。」
「ひどーい!」
もう何度目かになるこのやりとり。
今わたしたちは朝食の準備をしている。
本日のメニュー
トースト
スクランブルエッグ
焼きベーコン
サラダ
ホットミルク
(拓はブラックコーヒー)
拓がきてくれた朝の定番メニューだ。
…といっても、準備は拓がしてくれる。
大学時代、カフェでバイトをしていた拓は、料理がとっても上手いのだ。
「一日の元気は卵から。」
一見すれば意味のわからないこの教訓は、拓の家庭の家訓。
たんぱく質を多く含む卵を食べることで、一日元気で過ごせる。
・・・気に、なる。
ということだけど、その真意は定かではない。
本日のメニューにも、ゆで卵や焼き卵など、いたるところに登場する。
本当に黄色い。
正直、カロリーの方が気になるのだが…。
「まあ、美味しいからいいんだけどね。」
本人には聞こえないように、口の中で静かなつぶやきをもらす。
わたしも、料理は嫌いじゃないし
むしろ好きな方だけど
やっぱり人に作って貰うのは嬉しいし
何より拓に作ってもらった料理は
おいしくて大好き。
そして
「だって落ち着くんだもん。」
こうして料理をしている拓にくっついてる時間も、大好きなのだ。
