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先生。

第3章 ◯ 黄色い朝食

「た、拓っ…」





心臓の音がやけにうるさい。






「拓、ここキッチンだよ。せめてベッドでふむっ…んんっ……」

「はいはい。静かにね。」







恥ずかしさと戸惑いからでた、わたしなりの必死の抵抗は、拓の右手で口をふさがれることによって
難なく遮られた。






「んふ…」






顔がさらにあつくなる。





「いいこいいこ。」





まるで、子どもをあやすかのような声色。

わたしの動揺の仕方と、拓の冷静さのギャップに、さらに恥ずかしさが増す。







「あおいがあんまり可愛いからさ。料理に集中できなくなっちゃったの。」





シュルシュル

見えない音の正体を必死に探す脳が、ある一つの答えを導き出し、その行方に心臓の音が高さを増した。





もし予想が正しければ…





「だからさ」





この音はきっと……





「ふう…んむ……」





「責任、とってよね。」






腕を縛っていた音。






両腕の自由を奪われたわたしの顔を、グイッと持ち上げ


とっても悪い顔をした拓が
とっても嬉しそうな顔をして



わたしを覗き込んで囁いた。







「たのしもーぜ。」



…と。




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