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KISSからはじめよう

第2章 智、ダジダジする

『飯友』
いい響きだな

そんな人が出来たってだけで
昨日までの景色と違って見える

ひとりで過ごす部屋も
ひとりで食べるごはんも
何もかもが彼女に結びついてしまう

初めての食事は彼女から『合格点』を
もらえたようで、頻繁に連絡をするように
なっていた

でも都合が合わず、次の食事会は
なかなかやってこなかった

「で、どうするんですか」

マネージャーの壁は
とてつもなく高くて分厚い…

「だから…飯だけだから…」
「その先はない、ということでいいですか?」

その先…
面と向かって言われると
気恥ずかしいけど、彼女とそういう関係になりたくない、と言ったら
オスの部分的には嘘になるんだろうか…
自分でもよくわからなかった

ただ……
笑って
食べて
飲んで
いろんな話をして

そういう関係のまま…ってのは
無理なのかな…

どうしても『男と女』では
成り立たないのかな…

確かに「仲のよい友達のひとりです」とか
「食事をしただけです」とか
雑誌やテレビで見るあの決まった答えでは
「ほんとかよ!?」と突っ込んでいたけど
実際自分のことになると
「本当なのに…」と思うものなんだな…

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