腕の中で
第2章 2
「ねぇ、何で避けたの?」
先に口を開いたのは夏だった。
「ごめん。」
こっちを見ない鉄平に
腹が立って
怒りにまかせながら言葉を発した。
「アンタだけは信じてたのに。それでも教師?」
「なぁ、結婚しないか。」
「は?今なんて言った?」
「結婚してくれ。」
「今言うことなn…キャ!」
瞬間、抱きしめられた。
「ずるいよ、鉄平は。私がどんだけ待ったと思ってんの?」
「ごめん、俺は教師、お前は生徒だった。だったら少し我慢して卒業したら俺が夏を貰おうと思ってたんだ。」
「なんで言わなかったの?それならちゃんと言って欲しかった。」
「俺がそんなこと言ったらお前は卒業までにいい人が出来ても俺をずっと待ってただろ?」
「鉄平しか見えてないよ…。」
「で?結婚してくれる?」
「うんっ!する!」
怒りはどこかへ消えた。
やっぱり好きだった。