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ブラックボックス

第1章 ブラックボックス

“ブラックボックス”それは僕が一番嫌いなものだ。
食器洗いより、洗濯物干しより、掃除機より、嫌いなもの。
僕が呼ぶ“ブラックボックス”とは、自分の管理下に置かれていない物の事だ。
例えば、家の靴箱の中。リビングの台に置かれている小銭の統計。ごちゃごちゃになった洋服箪笥の中身。冷蔵庫の中に入っているジャムの消費期限の日付。数年前に使ったトランクの状態。英文法の教科書に書かれていないルール。それ等の僕が知らない事。と言うのが僕の大嫌いな事だった。別に携帯電話がどう作られているのか、とか。パソコンの中身は何だ。とかの一般的に、“ブラックボックス”と言われる類のものは別に気にならなかった。
ただ気付けば自分の周りが“ブラックボックス”だらけだった時イライラとさせられる。完璧主義者、人は僕をそう呼ぶかもしれない。でも、僕にはその言葉が酷く偽善的に聞こえる。
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