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無題

第1章 プロローグ

「あ、っ……」
しくじった。目を覚ました途端、その状況に声が出る。目の前の椅子に座り何やら本を読んでいた男が気付いて振り返った。
「あれ、お目覚めかな? 思ったより早かったね」
油断をしていた。夕刻に路地裏で、猫に気をとられていたところを後ろから気絶させられたのだ。
気付けば今、ターゲットであるこの男に捕まっているという始末。なんという失態。
「見てみなよ」
そう言うと男は、そばにあった大きな鏡を、こちらに向けた。
真色(ましき)はそこに、椅子に腰掛け、脚を椅子の脚に、手首をひじ掛けに縛り付けられた自分の姿を見た。ついでにいうと、白い肌に漆黒の髪、どうしても清楚に見られてしまう綺麗な顔立ちをしている。
「お前今から何されるかわかるか?」
殺されるのだろうか。最近追っていた連続殺人事件の犯人がこの男で間違いがないのなら。
「…………」
「わかってるんだろうなあ。ずっと俺をつけてたんだもんな」
立ち上がり、近づいてくる。真色は目を閉じた。
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