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王子様のメイド様

第1章 出会う






「……っ」



熱い。

一滴、一筋のそれが、頬をつたい流れていった。




悲しいのか、悔しいのか、なんかのかよくわからなかった。

ただただ、目の前に広がる「諸星家」と彫られた灰色の石を信じられず壊したくなる衝動にかられた。





震える手を、見る。

腕には包帯が巻かれ、所々に絆創膏やガーゼが貼られている。





---苦しい、なぁ









「…………………お母さん、お兄ちゃん」




小さく呟く。


と、共に降りだしてきた雨に肩を震わせた。



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