テキストサイズ

王子様のメイド様

第1章 出会う






「戻らなきゃ……っ、お父さん……心配してるね」




袖でゴシゴシと痛いくらい擦ると、
「よいしょ」と声を出して立ち上がる。









交通事故。

相手側が悪いわけでも、わたしたちが悪いわけでもない。


カーブでの両者のスリップが原因。





家族旅行の帰りだった。

ちょうどその日、かなりの冷え込みで雪が降り視界が悪く、そして路面が凍る遅い時間帯だった。


しかたないと言ってしまったらそれまでだ。






ひとりぼっち。


突然すぎて、頭が回らない。








トボトボと帰路を歩く。


雨が雪に変わる。






「寒いなぁ…」


身震いをする。

お父さんは目覚めない。
お母さんと唯一の兄妹のお兄ちゃんもいない。



家にひとりぼっち。








と。


突然目の前に大金持ちが乗るような高級車が走ってくる。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ