テキストサイズ

鳴り響く踏み切りの向こうの世界

第3章 検証してみる

カラン…コロン…

昔ながらのドアに掛かったベルに有線放送。壁には下手くそな日本画と有名人らしきサイン色紙が三枚。

退屈そうにカウンターに座った女マスターが無愛想に

『いらっしゃい。二名様?窓際にどうぞ』

席は十卓ほど。他に客はいない。半分いや、ほとんど趣味でやっているような店。正直‥‥羨ましい。

『藤城…俺は喉乾いてないぞ』

藤城はメニューを見ながら

『おっ!クリームソーダーがあるぞ。流石だな。いやいや』

何が流石なのかよく分からない。四人掛けのテーブルには円形の占い自販機?がある。藤城は持ち上げ振る。ジャラジャラと小銭同士がぶつかる音がする。

『意外に結構入っているな…回収してないのかな?見栄かな?それとも無精なだけか…』

『お決まりですか?』

いつの間にか俺と藤城を見下ろす女マスターはゴン!とお冷やを2つ置く。

相変わらずの無愛想+少々の怒り。

『あっ…長田決まったか?』

『いや…まだ』

『じゃあクリームソーダ二つね』

『‥‥‥‥‥‥‥』

まぁ…いつもの事だ。

『よろしいですか?』

女マスターは俺に訊ねる。どうにもサービス業にはむいてないおばさんだ。

『大丈夫ですよ』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ