鳴り響く踏み切りの向こうの世界
第4章 犬婆さんの正体
『あっ…すいません。紙とボールペンありますか?』
女マスターは明らかに面倒な顔をした。藤城は間髪入れずに
『ありますよね。紙は何でもいいですよ。あとクリームソーダはゆっくりでも構いませんから』
と、まぁ…ニッコリ。女マスターも満更でもない表情。まさにTHEサービス業だ。早くだせよ。宝の持ち腐れだよ。
『少し…待ってね』
藤城は何でも書く癖がある。悪いことではない。因みに俺は過程は書かない。結果のみ。
『なぁ…長田、ところで知っているか?駅から飛び込む人間の心理ってやつ』
『突発性だろ。一瞬の気持ちの揺れなのか…』
なんとなくだが想像つく。
『これが面白いんだ。確かに突発性なんだが…ある人間がホームから飛び込んだ。だが奇跡的に助かった。彼はこう言った。死にたかった訳じゃない。ただ列車を止めたかった…と。列車が止まれば会社を休む口実が出来る。ただ…誰も止める気配がない。ならば…自分で止めようと…飛び込むわけだ』
『――――――――』
『もっとも全てじゃない』
クックックッと藤城は笑った。今更だが…元々かなり不謹慎な男だ。
『ならば…多少見方が変わる。本当に多少だけどさ。例の踏み切り自殺だって恐らく踏み切り自殺さ。白昼の群衆のど真ん中でいくらなんでも完全犯罪は出来ない。不可能だし他にやり方はいくらでもある。ただ…ひょっとしたら事故かもしれないな』
女マスターは明らかに面倒な顔をした。藤城は間髪入れずに
『ありますよね。紙は何でもいいですよ。あとクリームソーダはゆっくりでも構いませんから』
と、まぁ…ニッコリ。女マスターも満更でもない表情。まさにTHEサービス業だ。早くだせよ。宝の持ち腐れだよ。
『少し…待ってね』
藤城は何でも書く癖がある。悪いことではない。因みに俺は過程は書かない。結果のみ。
『なぁ…長田、ところで知っているか?駅から飛び込む人間の心理ってやつ』
『突発性だろ。一瞬の気持ちの揺れなのか…』
なんとなくだが想像つく。
『これが面白いんだ。確かに突発性なんだが…ある人間がホームから飛び込んだ。だが奇跡的に助かった。彼はこう言った。死にたかった訳じゃない。ただ列車を止めたかった…と。列車が止まれば会社を休む口実が出来る。ただ…誰も止める気配がない。ならば…自分で止めようと…飛び込むわけだ』
『――――――――』
『もっとも全てじゃない』
クックックッと藤城は笑った。今更だが…元々かなり不謹慎な男だ。
『ならば…多少見方が変わる。本当に多少だけどさ。例の踏み切り自殺だって恐らく踏み切り自殺さ。白昼の群衆のど真ん中でいくらなんでも完全犯罪は出来ない。不可能だし他にやり方はいくらでもある。ただ…ひょっとしたら事故かもしれないな』