無題
第2章 始まり(後編)
郁也は驚いてポカンとアホみたいな顔で雅樹を見つめたが、雅樹はただフッと可笑しそうに微笑むといつの間にかつけられていたテレビに視線を移してしまった。
それからしばらく2人とも無言で再放送らしいドラマを見ていたけどテレビがニュースに変わると雅樹はダルそうにゆったりと立ち上がって数歩移動した後ベッドに寝転がった。
さっきより少し距離が近くなってだいぶ慣れてきていた雰囲気にまた緊張感が戻ってくる。
「今日、泊まってく?」
「え」
「どうせまた明日朝から迎えくるんだろ?」
「ー…そう、だけど…」
しどろもどろとハッキリしない返答ばかりで我ながら頼りないなぁと思いながら雅樹の方を見つめるが、寝転がっているせいで郁也の位置からは雅樹の表情を見ることはできない。
声は本当にいつも通りの無機質な感じで言葉通りの意味な気がするが…昨日の今日で、しかも朝とさっきので2度もキスしてきた意味が郁也にはどうしてもわからなかった。
雅樹がわからない…。
「別に、帰りたければ帰りたいってハッキリ言えばいい…」
ゴロリと寝返りをうって壁側を向いた雅樹は少し体を丸めながら若干苛立ったように投げやりに呟いた。
「…帰りたい、とは思って無い…けど…」
またもや曖昧に小さく返事した郁也に雅樹は決定打を下した。
「じゃあ、今日は泊まり。決定」
「わ、わかった…」
郁也は半ば押しきられるように雅樹の決定に従った。
それからしばらく2人とも無言で再放送らしいドラマを見ていたけどテレビがニュースに変わると雅樹はダルそうにゆったりと立ち上がって数歩移動した後ベッドに寝転がった。
さっきより少し距離が近くなってだいぶ慣れてきていた雰囲気にまた緊張感が戻ってくる。
「今日、泊まってく?」
「え」
「どうせまた明日朝から迎えくるんだろ?」
「ー…そう、だけど…」
しどろもどろとハッキリしない返答ばかりで我ながら頼りないなぁと思いながら雅樹の方を見つめるが、寝転がっているせいで郁也の位置からは雅樹の表情を見ることはできない。
声は本当にいつも通りの無機質な感じで言葉通りの意味な気がするが…昨日の今日で、しかも朝とさっきので2度もキスしてきた意味が郁也にはどうしてもわからなかった。
雅樹がわからない…。
「別に、帰りたければ帰りたいってハッキリ言えばいい…」
ゴロリと寝返りをうって壁側を向いた雅樹は少し体を丸めながら若干苛立ったように投げやりに呟いた。
「…帰りたい、とは思って無い…けど…」
またもや曖昧に小さく返事した郁也に雅樹は決定打を下した。
「じゃあ、今日は泊まり。決定」
「わ、わかった…」
郁也は半ば押しきられるように雅樹の決定に従った。