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落ちこぼれの救世主

第1章 序章

「は……はいッ、わかりました!!」

カイは、従順な姿勢でディルに応える。

しかし、その内心では全く違う思いを抱いていた。

――へっ、特別演習場になんて行くわけねぇだろ。 …このまままたとんずらこいてやるよ

ほくそ笑み、胸中でディルを嘲るカイ。
自分を信じきっているディルの姿がおかしくておかしくてたまらない。

だがディルは、そんなカイの本心などお見通しな訳で――

「ふむ……では」

そう短く声をこぼし、カイの頬に人差し指を押しつける。

カイは呆気にとられ、目をパチパチしていたが――

「一応、魔印(マイン)をつけておいた。…これでもし逃げようものなら再びわたしの魔法がお前に牙を向く」

そのディルの言葉に、カイの顔は一気に青ざめてしまった――。

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