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声をきかせて…

第3章 自己紹介

何回か小野さんに話しかけたけど相討ちすらも顔を動かさず、まばたきをする程度で返された。

一瞬でも目の動きを見失うと聞いてるの?と思ってしまうほど…微かな反応だった。

でも気付いたことがある。

高城さんがまみさんと話しながら何本もたばこを吸っているが、灰皿が定期的に交換されていてハリセンボン状態にならずにすんでいたり、空のお皿は従業員の人が取りやすいように通路側へ…。
飲み物が残り少なくなるとメニューを差し出す。
手が汚れそうなものを食べてるとおしぼりを…

すごく周りに気をつかっているんだな…と思ったが、あまりに自然に小野さんが動いているため、周りは気にも、とめずに話に夢中のままだった。

『話が盛り上がってるとこ悪い!
そろそろお開きということにしようか!
山木!明日から頑張れよ!
じゃあ明日、遅刻をしないようにな!』

部長が言い終わると次々と居酒屋を後にした。

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