テキストサイズ

虚-Utsuro-

第3章 虚無-キョム-

この世は【虚】で溢れかえっている。

虚無、虚栄、虚勢、虚言、虚偽、虚像……。


あたしの周りも【虚】だらけだ。
からっぽでなにもない。毎日がむなしい。


【虚】を打ち消すためにさらに【虚】を重ねる。

ゼロにいくらゼロをかけてもゼロであるように、【虚】に【虚】を重ねても【虚】でしかない。
むなしさは一向になくならないというのに、その無意味な方程式を理解しているというのに……【虚】の中でしか生きられない自分がいる。



あたしはからっぽで弱い人間だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ