スマイル ~*届3続編。気象・N*~
第18章 episode16~*暖かい*~
俺の隣で眠る唯は、安心しきっている様子で、
俺は、すごくほっとした気持ちになる。
最近は、お互いがお互いに忙しくて、物理的にすれ違う日々だった。
共に過ごすのは、ベッドの中の僅か数時間。
しかも、どちらかは眠っている状態で、話す機会はなくなっていた。
そんな俺らの会話どころは、
夕食や朝食がラップをかけて机に置いてあって、
その上に毎日欠かさずメモ用紙が置いてある…
これが限界だった。
それでも、唯の文面は本当に明るくて、暖かくて。
俺の心の支えになるものばかりで。
『和くん、おはよう^^
今日は和食です。
最近冷えるから、味噌汁の中にちょっとだけ生姜を入れてみたよ。
少しでも温かくなれば嬉しいな。
無理はしないように頑張ってね、応援してます^^
唯』
『和くん、おかえり!
そして、お疲れ様です^^
今日は和くんの大好きなハンバーグです。
ハンバーグを作ると、1年前のことを思い出すの。
あのときはビックリしたけど、あのときの和くん、凄く可愛かったよ^^
…また和くんに怒られちゃうのでこれくらいにします(笑)
明日もお互い頑張ろうね!
唯』
毎日、控えめで小さい綺麗な字を見ては、
書いてるときの唯を想像してクスッと笑って、ほっこりして。
あぁ、俺は本当に唯が好きなんだな、惚れ込んでるな、って思って。
でも、実際の唯を見ると、
まるで別人のようで、少しだけ怖くなった。
寝室に入って、ベッドにいる唯を見ると、
唯はいつも小刻みに震えていて。
頬には涙の跡があり、
うなされていることもしばしばあって。
「…か、くっ…、、ゃ…だ……」
どうやらうなされている内容は、毎回、
『離れていかないで…』
とか、
『いっちゃやだ…』
といったもので…
きっとそれは、唯の潜在意識が、辛いと訴えている証拠……。
「大丈夫だから…俺は…離れてなんていかないから……」
そんな唯を、俺はただ抱きしめて、
うなされる唯に伝わるかなんてわからないまま、
声をかけることしか出来ない。
かなり自分の無力さを知り、心が痛んだ。