スマイル ~*届3続編。気象・N*~
第18章 episode16~*暖かい*~
そんな日々が続いたせいか、
こんなにも優しい表情の唯は、本当に久し振りで、すごくほっとして、
思わず涙が溢れた。
あぁ…、唯はこんなにも辛くて寂しくて、
それでもずっと我慢して、どうしようもなかったんだな…って、
俺がした行為は、きっと唯のためになる、
正しい選択だったんだな…って、そう思った。
「か………、、だ…ょ……」
不意に声が聞こえた気がして、
唯は、いつものよりずっと小さな、吐息みたいな声で、
何か言っていると気付いた。
それを、どうしても聞き取りたくて、耳を唯の口元に持っていくと。
『和くん………好き、だよ……。
大好き………。』
唯のことを泣き虫だと言った俺は、
嬉しくて嬉しくて、本当に涙が止まらなくなっていた。
こんなにも、誰かを愛しいと感じたのは、久し振りだ……。
「…俺も………好き、だよ…。
好き…、大好きっ……
愛してる…唯……。」
あのときは…あの人のときには、きっと、恥ずかしくて、決して口にしなかった言葉。
後悔してもしきれないというのは、このことで。
でも今は、罪滅ぼしだとか、償いだとかそんなものじゃなく、
身体の奥底から溢れてくるように、言葉になって出てくる…。
というより、
愛しくて愛しくて、いくら言葉に出しても、
どんどんと涌き出てくるような、そんな感覚。
もう、しばらくはこの気持ち、収まらないんだろうな、とか考えて。
気付けば、
安らかな表情で眠る唯の頬に手を添え、
俺らしからぬほど、
甘く、優しく、口付けていた……。