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第16章 情と愛情と罠

サトシが去ると梨華に甘えるふりをした。

梨華に後ろから抱きつき

『梨華~会いたかったよ。
明日朝早いんだけど…梨華に会いたかった。』

梨華からはさっきまでの不機嫌がなくなり、今は顔まで真っ赤になっていた。

『海斗…酔っぱらいすぎ。
マンガ喫茶行こうか?』

『ほんとはホテルがいい。』

『海斗のえっち!
ホテルでもいいよ?
海斗といれればどこでもいいよ。』

『んーじゃあ公園…。』

『えっ!公園?』

梨華は俺の提案にびっくりしていた。

俺は梨華から離れ真剣な顔で…

『だめかな?』


『あっ…ううん。大丈夫。公園行こうか?』

と言ってくれた梨華の手を握り歩き出した。

公園に付きベンチに座った。

暗闇に公園の電気が目立っていた。

その電気はベンチに座ってる俺たちを照らしてくれていた。

『海斗…痩せたよね…ご飯食べてる?』

ベンチにすわっても手を握ったままだった。

『忙しくて…あと…精神的にもね…。』

精神的にもね…と言うときに握ってる手の力を少し入れた。

『海斗?なにがあったの?』

『俺の部署で使い込みが発覚したんだ…。
幸い会社にはばれてないんだけど…
その使い込んだお金を返そうとしているところなんだ。
だから…梨華…。





もう会えない…。』


『どうして?』

梨華の目には涙が溜まっていた。

『だから…お金ないんだ。
貯めてたお金もあててるから…
あと…百万返せば済むんだけど…。
それまでは、会えないよ…。
梨華に何もしてあげれないから。』


『何もしなくていい。
一緒にいてくれるだけでいい。』

『そういうわけにいかないよ。
一緒にいるのにもお金かかるだろ?
梨華に何もしてあげれないのは俺が嫌なんだ。
だからーー』


『じゃあ私もその百万返す。』

『でもー。』

『百万返せば会ってくれるんでしょ?
百万返せば私といてくれるんでしょ?』

『そうだけど…。』

『2人で返したほうが早く返せるじゃん。
部長もたいへんだね。』

梨華は笑っていた。
騙されてるとも知らずに…。

『ごめんな…梨華…』

と言いながら梨華の頭をくしゃくしゃしていた。


笑っている俺の顔をみられたくなくて…。

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