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わすれない

第2章 それぞれの傷

「ゆかりは、お前に心配かけたくなかったんだよ。」



「でも、あの時俺はそばにいたのに、なにもできなかった。」


「人間、やれることには限界があるんだ。」




「俺は、あいつに、なにも返してない。」


ああ言えばこう言うとはまさにこの事だろう。俺の返事にため息をついた。
中津川さんはグラスにはいった焼酎を一気に飲み干すと俺の額におもいっきしデコピンをした。



「!? いってぇっ~~~!!!!」


痛かった俺はかなりの大声で叫んでいた。店員はもちろん、回りの客にも何事かと注目を集めていた。俺は中津川さんを横目に見つつ、近くの客たちに、すみませんと謝った。


「まったく、このバカ頭! お前のその脳みそはお飾りか?!」



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