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わすれない

第2章 それぞれの傷

私は一瞬にして凍りついた。


圭介はすぐに立ち上がり、男の目の前に立ちはだかる。




「……お久し振りです。鈴本さん……そこを退いてくれませんか?」



弦はニッコリと笑いながら穏やかな口調で話す。圭介は退かずに、でも笑顔で言い返す。




「嘉山さん、彼女はまだ特定の人としか面会がゆるされていないんですよ。」



圭介がそう言うと、弦は一呼吸おいてから再び話した。




「医師の許可ならいただいておりますよ。ここの理事長は知り合いですから。」



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