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もう1度好きになってもいいですか?

第4章 ふたりの過去

「杏、かっこよかったよ。ちゃんとガツンと言えたじゃん。」
「ぅん、ありがと。」
ドサッ
「えっ?えっ?ちょっとどーした?杏?大丈夫?」
彩と駿が心配そうに覗き込む顔が最後に見えて、あたしは意識を失った。

白い天井。ふかふかのベッド。少しツンと鼻をくすぐるエタノールのにおい。
ガバッ
「ここ、どこっ?」
あたしは叫んだ。
「保健室よ。杏、熱で倒れたのよ。」
近くのイスに座っていた彩が心配そうに言った。
「いま、なんじっ?」
また、あたしは叫んだ。
「もう4時だ。おまえ、朝からずっと寝てたぞ。」
腕を組んだ駿が言った。
「うっそだぁ」
あたしは、半分笑いながら言った。
「ほんとですっ!保健室では静かに!」
カーテンからひょこっと顔を出して保健の先生が言った。

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