幼いえっち
第37章 アンハッピーバレンタイン
あたしは元気な振りを装って
チカとその彼氏を残しその場を去った。
こういう時、
自転車通学っていい。
すぐにひとりになれる。
あたしはカバンの中にチョコを隠して
家のマンションに入る。
近所の人に挨拶をしながら
自分の家の玄関を開けた。
「ただいまぁ」
「お帰りねぇちゃん!」
そう言って
迎えてくれたのは弟のソウスケ。
小学5年生。
「ねぇちゃん、俺にチョコは!?」
そう言って見つめてくる弟に
あたしは冷たく言い放つ。
「ソウは一度もあたしに
お返ししてくれたことないじゃん!
ホワイトデーなんもくれない人には
なんもあげないのーっ」
ふんっと顔を背けて素通りすると
ソウは背後で不満げな声を出した。
シカトシカト。