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赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

 美華子は、この時、はっきりと悟った。もしかしたら、自分が祥吾へ拘り続けるのは、愛情でも独占欲でもなく、ただの執着ではないか。しかも、祥吾という男自身へのものではなく、彼のために精一杯咲いた美華子の女としての三年間への哀惜。それがして、美華子に祥吾から離れがたくさせているのだとしたら?
 自分はこの三年という日々を無駄に過ごしてしまった。そんな想いを否定したいがために、いつまでも煮え切らぬ男への未練を抱いているのでは。

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