テキストサイズ

赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

 二十五歳から二十八歳といえば、女の盛りの時期だ。その花ならば見事に咲き誇る時期を、ただ身体を求めるだけの卑劣な男に捧げて無為に費やした。そんな現実から眼を背けるため、美華子はいまだに自分は祥吾を愛しているのだと思っている。いや、思わせようとしている。
 だが、所詮、そんなものはごまかしにすぎない。現実は現実で、そこから逃れることはできないし、たとえ盛りの時期は過ぎても、美華子の人生はまだまだこの先も続いてゆく。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ