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赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

 かといって、これから先、心底から美華子を求め、彼女の人間としての価値を見つけてくれる男が現れないとは限らない。そう、かつて美華子に真摯にプロポーズしてくれた大学時代の彼のように。
 これから先の未来で、美華子は幸福になれると決まっているわけではないけれど、また、必ずしも不幸になると決まっているわけではないのだ。そのことは美華子の心を少しだけ明るくする。暗闇の中でひとすじの光を見出したかのような心もちだった。

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