テキストサイズ

赤い花~情欲の檻の中で~

第4章 MemoriesⅢ

 美華子の中の疑念はますます膨らんだ。彼女は携帯電話を折りたたみ、唇を噛みしめた。これはもう、直接、祥吾と対峙するしかない。その時既に結果は予測できてはいたけれど、心の区切りをつけるためにも、男との最後の対決は必要なように思われた。
 三年という長い月日にピリオドを打つのだ。確かに相応の覚悟は必要だった。美華子はともすれば怯みそうになる心を懸命に叱咤した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ