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その日、僕は市の図書館に行っていた。学校での調べ学習のための本を探しに行っていた。僕は道の角を左に曲がった。
その時だった。背後に気配を感じた。はっとして振り向こうとした瞬間、後ろから飛び掛かられた。
僕は大声を出す間もなく、口にハンカチを押し当てられ、意識を失った…。


目が覚めるとベッドに寝かされていた。僕は頭の中で状況を素早く理解した。
僕は誘拐された…。
まず脱出することを考えたが、すぐに止めた。普通、人を閉じ込めておくのに窓やドアのカギを開けておくようなバカはいない。
その時、ドアが開く音がした。僕は、とっさにベッドの陰に隠れた。

「北条柊一さん」

女性の声だった。この声には聴き覚えがある。まさか。でも、間違いない。僕は、おそるおそるベッドの陰から顔を出した。