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新説 いせ物語

第1章 新説 業平の苦悩物語…?


『〜様、惟喬親王。
あれ、可笑しいな。またお隠れになられたみたいですわ。』

屋敷中を探し回るまだまだ若い女が1人。この者、惟喬親王の乳母係りらしい。名をお彩と言う。額に少し汗で張り付いた自慢の黒髪をかき分け、親王を必死で探し回るが、なかなか見つからないらしい。
その女の後ろから、早速とした足取りで付いてくる男が1人。この男、なかなかの色男(現代的に言えばイケメン)で、中年に差し掛かる年齢さえも感じさせないような引き締まった体に、エキゾチックな甘いマスクが無意識に女性を虜にさせているのである。


『…全く。何がお気に召さないのやら。ごめんなさいね、今日からせっかく来てくださったと言うのに…』
「いえいえ。まあ、最初は致し方無いことですよ。」
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