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それでも、私は生きてきた

第51章 悲しみと期待

車を降りて玄関までの道のり。
たった10歩程度の道のり。

この細やかな道標が、愛おしく切なかった。

玄関を開けると、
曇りガラス越しに影が見える。

にゃぁにゃぁ

と、聞き覚えの無い声。

その後ろから、

ぅにゃあ〜ぅにゃあ〜

と、聞き覚えのある声なのに聞いたことの無い鳴き声も。


少しだけでいいでしょ…?もう、痴呆だから。


母の、痴呆だから。は…

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