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それでも、私は生きてきた

第52章 ひとつの支え

買い物を済ませ、
祖母の元へと戻ってきた時は8時を回っていた。

ただいま〜

と、祖母に笑顔を送り
一目散に拓也の部屋に向かった。

居ない…

隣の部屋から叔父が、
ユリ帰ったのかー?
と声がかかる。

拓也出かけちゃった?

今さっきだぞ。電話してみっか。と、携帯を開き拓也に電話をしてくれた。

今戻って来るってよ、外寒いからココで一服してけ〜

うん、ありがとう。

そのまま叔父の部屋に入り、煙草に火をつける。
元ヘビースモーカーだった叔父は、ライターがいっぱい残ってる。と、引き出しから沢山のライターを取り出して、持って帰れ〜とニコニコする。


私の中に、
叔父にお願いしたい事が一つあった。

いつ切り出そうかと、ソワソワしながら1日が過ぎていた。今、この場で話そう…

煙草を挟む指先が小さく震えた。

あのね、パパにお願いがあってさぁ…パパにしか頼めないなぁって思っててさぁ…

キョトンと黙ったまま叔父が座り直す。


あのさ、
うちのパパとお母さんのこと。頼むね…。私、また離れちゃうからさぁ。悪いけど、頼むね…。


言えた…と思った瞬間、吐き出した言葉を吹き消してしまいそうなほど、大きく息を吐き出した。


うん。大丈夫だ。ありがとな。


叔父の微笑みが大きな安心を与えてくれた。

母の兄であり、
私の叔父である。

だが、
パパと呼ぶほど
叔父は私を大事に大事に抱えて来てくれた。子供の時から。
その温もりは大人になってから
大きな大きな安心になっている。




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