
それでも、私は生きてきた
第52章 ひとつの支え
拓也が駐車場で待ってるってよ。
その一言を聞いた瞬間、
叔父の部屋で使った灰皿を持ったまま
ちょっと行って来る!
と駆け出した。
拓也の車は津波に流されたと聞いているから、車が変わってる事もわかっていたけど、
違う車に乗っている拓也を見た瞬間、
なんとも言えない寂しさを感じた。
バリバリのスポーツカーが、
セダンになっていて
内装もスポーツカー特有と作りとは違って、
シンプルな革張り。
拓也らしくないね。この車。
助手席のドアを開けた瞬間、
思わず口にした。
流されちったからなー俺もショックだったんだよ。見たとき。
あー昼間パパから聞いた。トンネルでしょ…?
つか、今度こそ禁煙車?
いや、兄貴も乗るから吸っていいよ。
まぢか。つーか、灰皿持って来ちゃったんですけど。
持参したんだなーって思ってウケたけど!
持参のつもりはなかったけど持って来ちゃったんだってばー!
まあ、灰皿置いてないからよかったべ。
置いてねーのかよ!
数年間の距離が嘘みたいに、
変わらない会話が飛び交った。
当たり前のように乗っている私を、
当たり前のように気遣う拓也。
当たり前のように会話して、
当たり前のように運転する。
この空間だけ、刻が経って居なかったような。
そんな当たり前のような空間だった。
その一言を聞いた瞬間、
叔父の部屋で使った灰皿を持ったまま
ちょっと行って来る!
と駆け出した。
拓也の車は津波に流されたと聞いているから、車が変わってる事もわかっていたけど、
違う車に乗っている拓也を見た瞬間、
なんとも言えない寂しさを感じた。
バリバリのスポーツカーが、
セダンになっていて
内装もスポーツカー特有と作りとは違って、
シンプルな革張り。
拓也らしくないね。この車。
助手席のドアを開けた瞬間、
思わず口にした。
流されちったからなー俺もショックだったんだよ。見たとき。
あー昼間パパから聞いた。トンネルでしょ…?
つか、今度こそ禁煙車?
いや、兄貴も乗るから吸っていいよ。
まぢか。つーか、灰皿持って来ちゃったんですけど。
持参したんだなーって思ってウケたけど!
持参のつもりはなかったけど持って来ちゃったんだってばー!
まあ、灰皿置いてないからよかったべ。
置いてねーのかよ!
数年間の距離が嘘みたいに、
変わらない会話が飛び交った。
当たり前のように乗っている私を、
当たり前のように気遣う拓也。
当たり前のように会話して、
当たり前のように運転する。
この空間だけ、刻が経って居なかったような。
そんな当たり前のような空間だった。
