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それでも、私は生きてきた

第57章 電話番号

叔父との携帯のやり取りが終わるのを
待っていたのか、
叔父が話を止めると
祖母が話出す。


昔のままだった。


私が毎日のように、
来ていた風景。
変わらないままだった。




口を尖らせながら携帯を眺めていた叔父が、

次の質問を投げかける。


この電話帳に新しい電話番号を登録するのは、どうすんだぁ?


登録したい時は………



登録のやり方を細かく伝えながら、
私の中で
よぎった。



もしかしたら、
叔父は、

私の連絡先を聞こうとしてくれたのかもしれない。


きっと。
叔父も、
拓也と同じく
母から言われているはず。


むしろ、

私は

拓也にも

叔父にも


番号教えて。と、
言葉にしてこの体から吐き出したいくらいの思いだった。


でも。

それが
拓也にも叔父にも
迷惑になるだけかもしれない。

そう思うと、
なにも言葉には出来ないままだった。

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