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それでも、私は生きてきた

第59章 素直な親子

母と私の涙は、
いつも連携する。

失恋した。
友達と喧嘩した。

そんな時は、いつも母が共に泣く。

私の涙もろさは、母譲りだろう。と、
実感するほど、
母は私の涙を見ると共に泣く。



母の向かう先にコンビニがあったはず。と、
泣きながらも頭が働く。


途中のコンビニ…ひっく…まだ…ひっ……残ってんの?


泣きながらも、口調のキツさを残しながら、
母に問う。

母の横顔を見ると、
唇を震わせ涙が次から次へと溢れている。



視界が…ひっ…悪くなっ…ひっく…て、危ないから、コンビ…ひっく…ニ寄ろうよ。コーヒー…ひっく…でも買うし。


2人で大泣きしながら、途切れ途切れの言葉を発する。

コンビニに入り、
鼻をグズグズさせながら涙を拭き取る。


こんな朝から泣き顔の親子。
おかしく思われるだろうな。と思いつつも、
財布を手に取りながら、
車に乗っていたティッシュで涙と鼻を拭いた。


買ってくるけど、コーヒーでいいの?


お母さん出す!


いいって。飲み物くらい。コーヒー?冷たいの?あったかいの?どっち。


ユリと同じのが…いい。


わかった。買ってくるから。




車を降りながら、サイドミラーを覗く。

目が赤く、
鼻周りも赤くなってる。

明らかに、泣きました。という顔。



店内に入り、
コーヒーの棚を覗く。

いつもは、
ミルクとシュガー入りの微糖を好む私。

母は、
私が高校生の時に
タバコ、酒を一気に辞めている。

タバコとコーヒーがセットになってたから。
と、自宅ではコーヒーを飲まなくなった。

それでも
一緒に外出をしたり、
ランチやカフェに入ると、
母はカフェオレや甘めのコーヒーを飲んでいたのを思い出す。



カフェオレの缶を2本手に取り、
レジに向かう。


車に戻り、

これでいい?

無愛想な渡し方にも関わらず、

ニッコリと、子供がオモチャを与えられたような嬉しそうな顔で無邪気に笑う母。


受け取った母は、
カコンッと開けて
すぐに飲み始めた。


あー美味しい〜!ユリはやっぱりセンスいいね!


カフェオレは普段飲まない。
と、心の中で呟きつつも、
照れ恥ずかしかった。




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