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それでも、私は生きてきた

第60章 空白の時間

パーキングに寄るたびに、
タバコを吸ってはコーヒーを買う。

地元名産物のお肉やお団子。
地元に居た頃は、
当たり前のように食していた物が
地元を離れ、何処を探しても売ってない。

21年間も当たり前のように食べてきた物が、
突然
この世から消滅したかのように
手に入らない虚しさを感じて来た。

風に乗って香る当たり前だった香り。

財布を握りしめて、
眺めていた。

地元のスーパーでは、
たった200円程度で買えた記憶の物が
500円だったり…

こんな小さなサイズで、こんなにするの?!もっと安くなかったっけ?

そりゃパーキングだもん。

だよね…。


母に対して無愛想に終わらせようとしていたはずが、
気の抜けた声で答えた。


素直に、食べたい想いの一心だった。
何年も当たり前だったはずの物が手の届かない物だった。

子供が駄菓子屋で10円足らなくてションボリするような。
そんな気持ちだった。



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