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それでも、私は生きてきた

第69章 動く姿

診察室に入ると、

まずはお腹の赤ちゃんに会いましょうね。

若めの紳士的な男の先生だった。
ニッコリ微笑みながら、

迷ってるみたいだけど、まずは、お腹の中で赤ちゃんの心臓が動いてるか…ちゃんと子宮にいるのかを確認していくからね。

その言葉を聞いて、ベットに横になったまま涙を流した。

ワンピースを着ていた私は、ワンピースを胸元まで捲り上げ、下半身にタオルをかけてもらった。
横に付き添っていた看護婦さんから、


お母さん大丈夫?赤ちゃんと対面辛かったら、先生に確認してもらうだけでもいいよ。


と、声をかけられた。


すぐには返答が出来なかった。
産めるかどうかわからない私。

対面して殺さなければいけないと決まった時、
私は…………。




いえ。大丈夫です。自分の目で見ます…。


うん。

と、優しく微笑んだ看護婦さんはポンポン…と優しくお腹のあたりをさすってくれた。


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