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それでも、私は生きてきた

第8章 先生、私死にたい

依存症専門病院に駆け寄ると、
幼き頃から今日に至るまで
全ての状況を質問された。

母の前で言えないことも多々ある。

レイプのこと、援交のこと、
隠しつつ、
本題を重視した。

リストカットの始まりは?

母の目が鋭くなるのを感じた。

レイプです。とは、言えない。
何と無く思いついて…。


幼少期の話をしていた時、
母が突如泣き出した。

先生、私、この子が小学生の時に
包丁向けたことあるんです。
悔いても悔いても…。

包丁を突きつける鬼の形相をした母が
頭の中に浮かんだ。

本当は忘れていない。
気にしていた。

けど、
母の涙する姿を目の前に、
私は嘘をついた。

気にしてません。

母は涙を流したながらも、
笑顔を見せた。

救われた〜お母さん、
ずっと気になってたの。
そんな気にすることじゃなかったのね〜!

酷く悲しかった。
救われた。と喜びを見せる母が
ただ、
許しを受ける機会を求めていた。
だけのように思えた。

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