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妹えっち!

第20章 別れ話







「な、なんでここに…!?」



 抱き合った二人は離れ、焦ったように前を隠す

 ドライな璃乃が見つめる



「見て…た…のか?」
「見たくなかったけどね」



 哲平の血の気が引く



「ち、違うんだ!
その、これは…違くて!
誤解だ、聞いてくれ!!」
「え~~?」



 始めこそ焦っていた女だが今はのんきにパンツをはいてる



(バカッ、お前は何も言うなよ)



 耳のいい璃乃には聞こえた

 ぶぅ、とふてくされる女は何か言いたげで唇を尖らせている

 なるべく感情を抑えていた璃乃と女の目が合うと、女は事後という確たる優越感があるからか笑った

 馬鹿にしたような笑い方だった



 怒りより悲しかった



 信じていた結果がこれ
 彼氏を信じて馬鹿を見る
 裏切られたような気持ち

 悲しくて胸に穴が空きそうだ

 でも璃乃は自分も同じことをしてる

 見つかっていないだけで
 要は璃乃も哲平も
 同じ汚い人間
 信じるに値しない汚れた人間だ



 男も女も世の中も
 きっと見えないだけでみんな汚らしくてこんなもんなんだと思ったら悲しくて涙が溢れた



 ヤることやって
 円滑な恋人を演じて
 嘘や裏切りや秘密を平気で隠す



 璃乃もしていたことだ

 ここで彼氏を責めたら
 自分の行いを棚に上げて被害者面することになる

 もっと汚い人間になる



「……っ…!!」



 心の整理がつかなくて
 嗚咽をこらえきれなかった

 どうしていいかわからない
 何が悔しくて何が悲しいのか
 感情だけが先走って
 涙がポロポロと零れた



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