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愛のため。

第107章 最後の電話。

彼と最後の電話ができた。


悲しい、辛い。
そんな話ではなくて、


楽しかったよ。
楽しい日々をありがとうねって。


「本当にカナと一緒になれたら一番良かったけど。
自分のことをちゃんと理解してくれるし、
話していても自然に自分を出せるし、
身体の相性もいいし…いやらしい話じゃなくて、そういう行為で愛し合うことって大事やろ?」


「出会いのパーティー出て、
なんで好きな人がいるのにこんなことしてるんやろ?って思ったりしたけど…
また今度カナみたいな人と出会えたらいいなと思う。
出来なかったら、略奪愛やな(笑)」


「もし一番最初にカナと結婚出来てたら、離婚はしてなかった。永遠の愛やったろうな」


「あの日のデートの後、やっぱりカナを家に閉じ込めてたら良かった。帰さなければ良かった」



最後の最後に私は彼に尋ねた。


…私のこと好きやった?


「好きやったよ」




…今も好き?


「好きやよ」


…私も好き。


「じゃあな」


…じゃあね。おやすみなさい。




最後にサヨナラの挨拶はしなかった。

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